理事長より

思いを声に

 

 

はりまいのちの電話

理事長  福田 和臣

 

 日本は地震をはじめ自然災害の多い国です。北海道から九州まで実にたくさんの災害が報じられ、多くの人たちが尊いいのちを失っています。阪神淡路大震災や東日本大震災はその規模の大きさで、熊本では名城熊本城の被災が私たちに自然災害の怖さを見せつけました。被災者の人数や被災規模の状態に息をのむばかりです。しかし私たちは規模の大きさや被害の激しさについ耳目を奪われ、心が振り回されていることはないでしょうか。私自身、次々に報道される悲惨さにそのことが事実であることに麻痺していくことに気付くことがあります。
東日本大震災の約1ヶ月後、岩手県大槌町に「風の電話」というのが設置され、その後その事実をもとに「かぜのでんわ」という絵本が出されました。線のつながっていない黒の電話機と横に1冊のノートが置いてあり、これまで1万人以上が訪れ、亡くなった家族や友人への思いを伝え残しているそうです(詳しくはインターネットでお調べ下さい)。
突然の別れは人生の最大の危機であり、その深刻さは私には想像さえ出来ません。せいぜい自分の家族であったらと思いを至すしか出来ません。ひとりにつながったひとりの思いは被害の大きさや数ではあらわせません。そしてそれは時間が経っても薄れることはなく、むしろ複雑に増幅されて来ます。風の電話に何を伝えたかは横にあるノートを見てもはかり知れないと思います。伝えきれない思いとどう向き合っていけば良いのかと思うばかりです。
私たち「いのちの電話」は東北各県や熊本等でその思いを少しでも受け止めるべく、傾聴の受話器を取っています。「風の電話」に託した心の声に私たちは「いのちの電話」として向き合っています。電話をかけて来ていただいた声に私たちもしっかりと応えていきたいと思っています。電話の向こうから伝わってくる声に私たちも多くを学ぶことでしょう。そこから学んだことは今もいのちと向き合う相談者の方々や相談員にとって確かな一歩になることでしょう。

 

「はりまいのちの電話」は今年で30年を迎えました。これからも、はりまいのちの電話をご支援下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。


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