事務局長より

人に寄り添うということ

 

 

はりまいのちの電話

理事事務局長 増田 和郎

 

 はじめまして。私は昨年12月、「はりまいのちの電話」理事事務局長に就任しました。なにぶん浅学非才の身ですが、自殺予防のために精いっぱい努力したいと思っていますので、どうかよろしくお願いいたします。
 告白しますと、恥ずかしながら私はこれまで「いのちの電話」の活動に参加したこともなければ、数年前までこのようなボランティア団体があることすら知りませんでした。ところがそんな私に、昨年秋ごろある方から「空席の事務局長を引き受けてもらえないか」との要請がありました。大切な方からのお話であり、今までの“悪行”をボランティアで償うのもいいかなという“下心”もあって、引き受けることにしたのです。
 私のキャリアを簡単に申し述べます。1973(昭和48)年、大学卒業と同時に神戸新聞社に入社し、記者としてスタートを切りました。サツ回りや地方行政を経験し、出向した僚紙デイリースポーツではプロ野球(ジャイアンツ)のほか、モータースポーツの最高峰であるF1グランプリなどを担当し、6年余り取材で世界を駆け回りました。その後、神戸新聞の北播総局長を経て姫路支社長を5年間務め、昨年3月に退職。44年間の記者生活にピリオドを打ちました。
 駆け出し時代、人間関係がうまくいかなかったり、事業に失敗したり、恋愛や受験の悩みを募らせ自ら命を絶った人について、何度か取材をすることがありました。今も思うことは、何事にも原因があり結果があるということです。何よりも恐ろしいのは、その人を「孤独」が覆い尽くしていたことでした。
勝負に生きるプロ野球選手やスポーツ選手、世界を転戦するF1ドライバーにインタビューすると必ず「ファンの応援が力になった」と口にします。周囲の人を寄せつけない孤高の選手ですら言うのです。「決して一人で戦っているのではない」と。裏返せば、人に寄り添うということは、その人の温かいファンになるということなのではないでしょうか。
 神戸新聞社で教わったことは、「権力の側に立たない」「常に弱者の目線で」「自分の良心に従い判断する」でした。私はこの「3つの教え」に従い記者として仕事をしてきたつもりですが、そういった経験がこれからのお役に立つならば大変うれしく思います。
 自分の時間を人のために使う―という故日野原重明先生の生き方が私は好きです。それをまさに日々実践されている「はりまいのちの電話」相談員の皆さんや事務局員の方々に、深い敬意を表します。そしてこれからもその「人間愛」を大切に、新参の私とともに悩める人々に寄り添い続けていただければ望外の喜びです。


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